夢プロジェクト第六夢~江山楼のちゃんぽんを食べたい~

江山楼とは

長崎新地中華街に本店を構え、創業60年の中華料理屋

長崎出身の歌手“さだまさし”さんがイメージソングを手掛けるなどまさに「長崎の味」として県民に親しまれている

 

女性スタッフK(以下Kさん)はI様の事が大好きだった。

寡黙な方だが穏やかで紳士的だ。

 

2ケ月前に他の方の夢プロジェクトの同行スタッフとして夢達成の瞬間に立ち合い、達成感を味わうことができたKさんは、次にI様の夢達成のために自ら進んで計画してくださった。

 

 

I様の夢

 

 

江山楼でちゃんぽんを食べたい

三八ラーメンを食べたい

三八ラーメンの餃子を食べたい

お墓参りにいきたい

 

I様の夢を叶えたいと決心したKさんが聞き取りを行ったあとすぐにこう思ったそうだ。

「食べ物ばっかりやん(笑)」

 

でも実にI様らしくもありKさんと盛り上がっていた。

それに、“ただ○○を食べたい”ではなく、○○で○○を食べたいと店名までしっかりと指定されているのだからこの夢にもきっとI様の人生がたくさん詰まっているだろうと感じる事ができた。

そして叶える夢は

①お墓参りに行きたい②江山楼でちゃんぽんを食べたい の2つに決定した。

 

当時の歩行状態は不安定ではあったが、きちんとスタッフが横に付き添い軽く体を支えて差し上げると安定して歩行されていたので、課題はI様が抱えているⅡ型糖尿病の影響と御家族の承諾だった。

 

まずは御家族様に承諾を頂くためお電話にてお墓参りは後日、御家族様と一緒に行かれるとの理由の為中止になってしまったが江山楼でちゃんぽんを食べることには快諾頂いた。

 

主治医にも持病に悪影響がないかの確認を行い、「1食ぐらいであれば問題ないだろう」との事で許可を頂いた。

デイサービススタッフの看護師に協力を依頼し、出発直前(昼食から1時間前)にインスリン注射を打つことにした。

 

 

さあ課題は解決できた。

あとは実行のみ。

 

 

いかに御本人様のモチベーションを実行日まで維持できるかが担当の女性スタッフの課題ではあったが『江山楼のちゃんぽんを食べたい』という気持ちは揺らぐ事なく、当日までただただ楽しみにしておられた。

 

いよいよ当日

体調も万全で居室にI様も楽しみに待って下さっていたが来ていた洋服はいつもと変わらない格好だった。

心の中では【もう少しオシャレしなくていいのだろうか】と同行スタッフは思ったそうだがその理由は後ほどわかることになる。

 

車に乗車し、現地までの約40分の道のりの中久しぶりに訪れた長崎市の街並みをじっと見つめられていた。

「懐かしいなー久しぶりに通ったよ」

寡黙なI様が、いつもより饒舌に女性スタッフに話をして下さった。

 

お店に到着するとメニューを見ることなく『ちゃんぽんにする!』

と意気揚々と注文。

女性スタッフも喜んで同じ物を注文された。

 

岩男様 ピース-min

 

最初は何かを思い出すように、一口一口噛み締めながら召し上がられていた。

そして次第にお話してくださるようになり

 

 

「美味しかー!」思わず言葉がこぼれていた。同時に笑顔でこう話して下さった。

「昔はこの近くに住んでいてね、家族と何回もこの店で一緒にちゃんぽんを食べていたんだよ」

そう、I様にとって江山楼でちゃんぽんをたべるということはいわば日常。

わざわざオシャレをする必要なんかなく、“当たり前の生活”を垣間見ることができた瞬間だった。

I様にとっての当たり前を取り戻す瞬間に立ち会えたことを同行した女性スタッフは誇らしく私に話してくれた。

その瞬間を以前と同じように御家族と迎えることはできなかった。

それでもその当時を思い出しながら、同じ店で、同じメニューを食べる。

これがいかに素敵なことなのか、私は女性スタッフから学ばせて頂いた。

 

 

帰りの車内でも饒舌で、「いっしょにちゃんぽんを食べることができて嬉しかったです。」と話しかけた女性スタッフに対して「ありがとう。そんなこと言われて“幸せ”だよ」

と話して下さった。

 

施設に入ったから人生は終わりじゃない

施設に入ったから不幸せとは限らない

 

幸せだよ。

 

その言葉が女性スタッフにとっては最高のプレゼントだった。

 

スタッフと岩男様-min

 

“今回のプロジェクトに私はほとんど関与していません。

計画も、実行もすべて担当の女性スタッフ2名が行ってくれました。

経過報告の際や、課題抽出などに助言をさせてもらった程度です。

それでも当日の写真や動画を見ながら女性スタッフの感想を聞かせてもらうだけで私が幸せをもらいました。”

 

やっぱり夢プロジェクトはいつも私に元気をくれる宝物です。

 

 

山本 竜馬

この記事を書いた人

夢プロジェクト第六夢~江山楼のちゃんぽんを食べたい~ - 株式会社 ジャストインケア

夢プロジェクト第六夢~江山楼のちゃんぽんを食べたい~

江山楼とは

長崎新地中華街に本店を構え、創業60年の中華料理屋

長崎出身の歌手“さだまさし”さんがイメージソングを手掛けるなどまさに「長崎の味」として県民に親しまれている

 

女性スタッフK(以下Kさん)はI様の事が大好きだった。

寡黙な方だが穏やかで紳士的だ。

 

2ケ月前に他の方の夢プロジェクトの同行スタッフとして夢達成の瞬間に立ち合い、達成感を味わうことができたKさんは、次にI様の夢達成のために自ら進んで計画してくださった。

 

 

I様の夢

 

 

江山楼でちゃんぽんを食べたい

三八ラーメンを食べたい

三八ラーメンの餃子を食べたい

お墓参りにいきたい

 

I様の夢を叶えたいと決心したKさんが聞き取りを行ったあとすぐにこう思ったそうだ。

「食べ物ばっかりやん(笑)」

 

でも実にI様らしくもありKさんと盛り上がっていた。

それに、“ただ○○を食べたい”ではなく、○○で○○を食べたいと店名までしっかりと指定されているのだからこの夢にもきっとI様の人生がたくさん詰まっているだろうと感じる事ができた。

そして叶える夢は

①お墓参りに行きたい②江山楼でちゃんぽんを食べたい の2つに決定した。

 

当時の歩行状態は不安定ではあったが、きちんとスタッフが横に付き添い軽く体を支えて差し上げると安定して歩行されていたので、課題はI様が抱えているⅡ型糖尿病の影響と御家族の承諾だった。

 

まずは御家族様に承諾を頂くためお電話にてお墓参りは後日、御家族様と一緒に行かれるとの理由の為中止になってしまったが江山楼でちゃんぽんを食べることには快諾頂いた。

 

主治医にも持病に悪影響がないかの確認を行い、「1食ぐらいであれば問題ないだろう」との事で許可を頂いた。

デイサービススタッフの看護師に協力を依頼し、出発直前(昼食から1時間前)にインスリン注射を打つことにした。

 

 

さあ課題は解決できた。

あとは実行のみ。

 

 

いかに御本人様のモチベーションを実行日まで維持できるかが担当の女性スタッフの課題ではあったが『江山楼のちゃんぽんを食べたい』という気持ちは揺らぐ事なく、当日までただただ楽しみにしておられた。

 

いよいよ当日

体調も万全で居室にI様も楽しみに待って下さっていたが来ていた洋服はいつもと変わらない格好だった。

心の中では【もう少しオシャレしなくていいのだろうか】と同行スタッフは思ったそうだがその理由は後ほどわかることになる。

 

車に乗車し、現地までの約40分の道のりの中久しぶりに訪れた長崎市の街並みをじっと見つめられていた。

「懐かしいなー久しぶりに通ったよ」

寡黙なI様が、いつもより饒舌に女性スタッフに話をして下さった。

 

お店に到着するとメニューを見ることなく『ちゃんぽんにする!』

と意気揚々と注文。

女性スタッフも喜んで同じ物を注文された。

 

岩男様 ピース-min

 

最初は何かを思い出すように、一口一口噛み締めながら召し上がられていた。

そして次第にお話してくださるようになり

 

 

「美味しかー!」思わず言葉がこぼれていた。同時に笑顔でこう話して下さった。

「昔はこの近くに住んでいてね、家族と何回もこの店で一緒にちゃんぽんを食べていたんだよ」

そう、I様にとって江山楼でちゃんぽんをたべるということはいわば日常。

わざわざオシャレをする必要なんかなく、“当たり前の生活”を垣間見ることができた瞬間だった。

I様にとっての当たり前を取り戻す瞬間に立ち会えたことを同行した女性スタッフは誇らしく私に話してくれた。

その瞬間を以前と同じように御家族と迎えることはできなかった。

それでもその当時を思い出しながら、同じ店で、同じメニューを食べる。

これがいかに素敵なことなのか、私は女性スタッフから学ばせて頂いた。

 

 

帰りの車内でも饒舌で、「いっしょにちゃんぽんを食べることができて嬉しかったです。」と話しかけた女性スタッフに対して「ありがとう。そんなこと言われて“幸せ”だよ」

と話して下さった。

 

施設に入ったから人生は終わりじゃない

施設に入ったから不幸せとは限らない

 

幸せだよ。

 

その言葉が女性スタッフにとっては最高のプレゼントだった。

 

スタッフと岩男様-min

 

“今回のプロジェクトに私はほとんど関与していません。

計画も、実行もすべて担当の女性スタッフ2名が行ってくれました。

経過報告の際や、課題抽出などに助言をさせてもらった程度です。

それでも当日の写真や動画を見ながら女性スタッフの感想を聞かせてもらうだけで私が幸せをもらいました。”

 

やっぱり夢プロジェクトはいつも私に元気をくれる宝物です。

 

 

山本 竜馬

この記事を書いた人