「お客様の夢・やりたいことを叶える」
T様の夢「喫茶店でおいしいコーヒーが飲みたい」
ジャストイン諫早の館内(2階)にあるデイサービスよろこびは、毎日沢山のお客様がご利用されております。
その中のお1人、T様86歳。
脳梗塞の後遺症があり、自宅での生活が困難になったため、「ジャストイン諌早」に入居されました。
物静かで穏やかな方ですが、時には冗談を言われ、職員を笑わせて下さいます。
そんなT様はデイサービスのご利用中に、よくコーヒーを飲まれています。
ある日、T様に
「コーヒー好きなんですね。前から飲まれてたんですか?」
と尋ねると、
「お店では飲んだことはないけど、家ではいつも飲んどったとよ。お店でも飲んでみた
かったとけどね~」
と話されました。
そこで私たちは、T様を喫茶店にお連れすることが出来ないか話し合いました。
喫茶店の場所選び(駐車場の有無・バリアフリー対応 etc…)、ご家族への事前説明や承認など、考えられる課題を整理しました。
最初にご家族に連絡し、T様の外出の件を説明したところ、快く承諾して頂きました。
次は喫茶店探しです。
T様の意見をお聞きしながら、諫早市内の喫茶店をインターネットで検索したところ、3件の喫茶店が候補にあがりました。
そして、T様のリハビリ担当の理学療法士と介護福祉士で、3件の喫茶店の下見に行ってきました。
その結果、福田町にある喫茶店「上門口」に決まりました。
「上門口」は駐車場が広く、店内入り口まで階段があるものの、段差は低く、T様の歩行能力で十分可能であることと、店内はバリアフリーで、入ってすぐ右側にソファー席もあり、ゆっくり座る事も出来ました。
お店の方に事情を話すと、快諾していただけました。
次に、この夢を安全に叶えられるように、理学療法士が歩行訓練のプランを作り、それに沿ったリハビリを開始しました。
主に、手引き歩行や階段昇降訓練をしました。
日頃から段差訓練をすることがなかったのでT様からは不安な表情が見られました。
しかし・・・
想像とは裏腹に、訓練を続けるうちにT様からは笑顔が見られ、意欲的に訓練へ取り組んでいただくことが出来ました。
そしてT様には当日の流れを把握して頂くため、案内状を作成しました。
外出当日、T様は笑顔でデイサービスへ来られました。
しかし、車に誘導すると、何故かT様の顔から笑顔が消え・・・
車内でも硬い表情で、私たちが話しかけても返事が無くなり・・・
私たちもだんだん心配になってきました。
そして、そんな空気のまま「上門口」に到着!
訓練の甲斐があり、歩行も階段の段差も問題なくクリア出来ました❤
店内の移動も余裕の表情で進まれ、無事ソファー席に到着!(^^)!
ソファーで落ち着かれてから、「上門口」特製ケーキセットのメニューを見て頂くと、
あれだけ硬い表情だったT様が満面の笑みに(*^▽^*)
T様はニコニコ笑顔でフルーツロールケーキとアイスコーヒーのセットを選ばれました。
そしてついに念願の喫茶店でのコーヒーとケーキが!!!
T様は私たちがびっくりするくらいの勢いでケーキを食べ始めました。
そして少し落ち着くと、急に泣き出しはじめました。
「どうしたんですか?」と聞いたら、
「車に乗せられたけん、山に捨てられると思ったとよ。でも、コーヒーとケーキを食べれて嬉しか」
なんとT様は喫茶店の事を忘れていたらしく、車で山の方に行くので、
(「上門口」はちょうど自然豊かな山の方にあるんです。)
「もう今日で自分は山に捨てられるんだ・・・」と誤解されたみたいです。
T様すみません!!!
誤解もとけ、安心したT様はコーヒーとケーキを完食され、「次はちゃんぽんを食べたか!」と大満足の様子でした。
今回、この取り組みを通して、T様の「夢」とまではいかないながらも、「やりたかったこと」を実現するお手伝いが出来たことに対し、私たち職員の意識も変わりました。
施設に入ったから・・・
高齢になったから・・・
人に迷惑をかけるから・・・
そんな理由で諦めている方が沢山いらっしゃいます。
ほんの少しのお手伝いで、「諦めていたこと」「やりたかったこと」が出来る。
そして、出来たことでよろこびが増え、毎日が楽しくなる。
私たちはT様にそのことを教えていただきました。
これからもその「よろこび」が続くように、私たちはお手伝いしていきたいです。
記・小川景子
【バックナンバー】
こちら ➡ 第1夢 ~釣りに行くこと~
こちら ➡ 第2夢 ~原爆で亡くなった叔父のお参りに広島へ~